事務所ブログ『汗まみれ日記』

■絵本専門士が選ぶ『経営に効く絵本』紹介|『木を植えた男』

海野税理士事務所では、副業や仕事以外のプライベートの活動を全面的に応援しています。子育てをはじめ、充実したプライベート、何かに取り組んでいる活き活きした人たちと一緒に仕事がしたいから。

弊所のチームセクレタリー藤井は、子どもだけでなく大人の心にも響く絵本を紹介する絵本専門士として活動中。そんな藤井が、経営者の皆さんの心に響く絵本をセレクトしてご紹介してみたいと思います。

ジャン・ジオノ/原作、フレデリック・バック/絵、寺岡襄/訳、あすなろ書房、1989、amazon

 

ひとつひとつ、種を蒔く。

その種が実る保証はないけれど。

地道に、ひとつひとつの行動を重ねていった先に、ある男は荒れ果てた土地を豊かな緑であふれさせました。

ただ一つの武骨な信念が、人々に幸せをもたらす偉業へとつながる。

そんな作者の体験をもとに描かれた絵本、経営者の皆さんにじんわりと沁みるストーリーです。

あらすじ

南仏プロヴァンスの荒れ地に、人知れず木を植えつづけた男がいました。

そこは、荒れ果てた不毛の地。

一日に100個のどんぐりを植えても、無事に育つのは10分の1ほど。

時には、すべて苗が全滅になってしまうこともあります。

二度の大きな戦争を経てなお、絶望を乗り越え、

30年以上も地道に男は種を蒔きつづけました。

誰に知られるでもなく、名誉も報酬もないその信念の先に、男がもたらしたものとは?

ひとつひとつを着実に。 確かな歩みをつづけること

妻も子どもも失い、ある男が孤独の中で見つけた信念とは、

なにかためになる仕事がしたい」という思いでした。

うまくいかないことのほうが多い。

ただただ地道に。その努力を人が知らなくても、種を植え木を増やし続ける。

結果、ひとびとの心が荒み、争いの絶えなかった荒れ果てた土地は、

緑にあふれ人々の豊かな生活と笑顔のあふれる地となりました。

黙々と一歩一歩あゆみをすすめることに、このお話は勇気を与えてくれるのです。

絵本にも、こんな言葉が出てきます。

どんな大成功のかげにも、逆境にうちかつ苦労があり、どんなに激しい情熱をぶつけようと、勝利を確実にするためにはときに、絶望とたたかわなくてはならぬことを。

どんなに努力を重ねても、成功を得られるなんて保証はない。

経営であっても、物事が一日二日でうまくいくことなんて、ないですよね。

失敗は当たり前。

でも、日はのぼり次の一日はいやがおうにもやってきます。

お客さま、スタッフ、まわりに与える影響を考えたら、前に進み続けるしかない。

自分のまわりの人がどれだけ幸せになれるかー。

経営とは、そのために、信念に従い歩みつづけることなのかもしれませんね。

そんな強さを、この絵本はおしえてくれます。

種を蒔くこと=人を育てること ~人材育成~

種を蒔き、その種が実り木へ森へ成長していく過程は、まるで人を育てることのようです。

たくさんの人を雇い、ノウハウを伝えても、それが実るのはほんの一握り、ということもあります。

人と人とのマッチングを繰り返し、いい人と出会いながら、前に進んでいく。

結果、それが顧客や業務の品質にもつながっていくはずなのです。

未来へ仕事の種をまく

他人に左右されることなく自分の信念を貫く

 

まずは、わたし自身も自分の未来へ種を蒔いていこうと思えます。

例えば、どんな仕事をするのであれ、礼儀と相手へのリスペクトを忘れないこと。

それが、わたしにとっての未来への仕事の種です。

さて、みなさんはどんな種を蒔いていくでしょうか。

おはなしの終盤、昔は荒れ果てていた場所に、

木々のなんとも明るいあざやかさ、喜びに満ちた人々の営みがあふれているページは、

うねるように光を帯びて、読む人の胸に迫ってきます。

種を蒔きつづけることから、森が生まれ、人の生活が広がっていく。

日々、種を蒔き、木を植え続ける経営者の皆さんへ。

この絵本が、皆さんの背中をそっと押す一つの種となりますように。

絵本専門士 藤井遥

〝大人にも絵本を〟をモットーに、子どもから大人まで楽しめる絵本や、お出かけのヒントになる絵本施設やイベントの紹介などを行っています。2017年、絵本専門士の認定取得。絵本紹介サイト「にこっと絵本」にて、記事を執筆中。また、藤沢市片瀬山のコクリエ親子ラボでは、月に1度の絵本の会で講師を務めています。

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