事務所ブログ『汗まみれ日記』

■絵本専門士が選ぶ『経営に効く絵本』紹介 
|『フレデリック』

海野税理士事務所では、副業や仕事以外のプライベートの活動を全面的に応援しています。子育てをはじめ、充実したプライベート、何かに取り組んでいる活き活きした人たちと一緒に仕事がしたいから。

弊所のチームセクレタリー藤井は、子どもだけでなく大人の心にも響く絵本を紹介する絵本専門士として活動中。そんな藤井が、経営者の皆さんの心に響く絵本をセレクトしてご紹介してみたいと思います。

『フレデリック ちょっと かわった のねずみの はなし』レオ・レオ二/著、谷川俊太郎/訳、好学社、1969、amazon

 

皆さんは、〔仕事をすること〕をどのように捉えているでしょうか。

 

海野税理士事務所では、仕事をするうえで〔相手の立場にたつ〕ということを大切に、

ひとつひとつの業務にあたっています。

 

あるとき、海野がこんな話をしてくれました。

 

海野が若手だったころ、上司の対談に同行したときです。

録音係を任せられ、録音機の作動確認をし、準備は万端。

しかし当日、録音機が作動せず、電池が足りないことが判明してのことでした。

こっぴどく叱られた彼に、運が悪かったではないよ、と先輩からアドバイスがあったそうです。

相手の時間を奪ったという失態。

失敗の根本は、先を予見して相手を思った行動ができたか、ということ。

そこから、海野にとって、「相手の立場にたった仕事」が信条となったそうです。

それは、今の事務所で大きく息づいている理念となっています。

 

 

この話を聞いたときに、ふと『フレデリック』という絵本が頭に浮かびました。

この絵本の本来の主題は、フレデリックのまわりとは違う特性や能力を肯定し、どんな人でも活躍の機会があることを教えてくれるものだと考えています。

でも、今回は作者の描きたかった主題には沿わないかもしれませんが、

この絵本の結末に、事務所の理念に通じるビジネス成分をあてはめて、

独自の切り口から〔仕事をすること〕について考えてみようと思います。

あらすじ

あるまきばの、納屋やサイロにほど近い石垣の中、野ねずみたちの家がありました。

お百姓さんが引っ越してしまった為、納屋やサイロはからっぽ。そのうえ、冬は近い。

小さな野ねずみたちは、冬の為に食べ物をせっせと集めて運んでいました。

みんな昼も夜も働いています。

ただーフレデリックだけは別でした。

一人で座り込んで、まきばをじっと見つめているフレデリック。

彼はそんなあいだにも、おひさまの光や、色や言葉を集めているというのでした。

 

やがて冬がやってきて、雪が降りはじめました。

はじめのうちは楽しく食べ物もたっぷりあったけれど、そのうち食べるものは尽き、

石垣の中は凍えるような寒さ、おしゃべりする気にもならなくなりました。

 

そんなとき、野ねずみたちは思い出したのです。

「きみが 集めたものは、いったい どうなったんだい、フレデリック。」

そしてフレデリックが、これまでに集めたおひさまの光や、色や言葉を披露するとー

「これは まほうかな?」 「君って詩人じゃないか!」と拍手喝采。

フレデリックはみんなの称賛を得て、ほほを染めたのでした。

〔仕事をするということの本質〕=相手に喜ばれる仕事

 

絵本のフレデリックが最後に評価されたことは、「相手の立場にたって仕事をおこなう」ということにも繋がるはずです。

 

冬までの準備を進めている間には評価されていなかったフレデリックですが、

冬になり、それまでにフレデリックが積み重ねていたことに需要が生じたときにやっと、

フレデリックの行いが、相手に喜ばれる〔仕事〕になったのではないか、と感じます。

 

食べ物が減ってきて、陰鬱とした空気が流れたときに、フレデリックの発想や表現が歓迎された、ということはつまりー

相手に求められてはじめて喜ばれ、〔仕事〕として評価された、ということ。

 

このことに気がついたとき、私自身も〔仕事〕を行うことの根本から見つめなおすきっかけをもらいました。

「自分目線」で行う仕事から、「相手がどう感じるか」「相手にとってどんなアクションか」ということに着目して行動を起こしてみると、相手の反応も違うことに気がついたのです。

 

 

 

自分がいま行っている仕事は、受け取る相手にとってどんなものか。

求められていることは何か。何をしたら喜んでもらえるか。

その点を追求していくと、「よい仕事」につながっていくのではないでしょうか。

 

助かった、嬉しい、と思われる仕事を。

まずは相手にとって自分の行っている仕事はどういうものか、を見つめなおすこと。

〔自分ごと〕から〔相手の立場にたった仕事〕へ。

発想の転換をしてみると、視野が広がり仕事で起こすアクションの起こし方、向き合い方がまた変わってくるかもしれません。

 

 

絵本専門士 藤井遥 

〝大人にも絵本を〟をモットーに、子どもから大人まで楽しめる絵本や、お出かけのヒントになる絵本施設やイベントの紹介などを行っています。2017年、絵本専門士の認定取得。絵本紹介サイト「にこっと絵本」にて、記事を執筆中。また、藤沢市片瀬山のコクリエ親子ラボでは、月に1度の絵本の会で講師を務めています。

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