その2 ~請負契約書と基本契約書~
鎌倉の海野裕貴税理士事務所よりスタッフの武藤です。
前回のブログから印紙税をテーマにしています。
私たちのような税理士事務所よりも
経営者や経理の実務をされている方々のほうが接する機会が多いかもしれません。
例えばお客様から「ソフトウエアの保守契約には
いくらの印紙をはればいいの?」とご相談いただき、
調べてみると、まあなんと奥深い!(今さらですが。。。)
ここで「そうそう」と相槌をうってくださった方は
一度は印紙税に頭を抱えたに違いありません!!
今回のブログでは実に悩ましい、請負契約書と基本契約書についてご紹介します。
■請負契約書と基本契約書
まず、印紙税法では課税の対象となる契約文書(=課税文書といいます)が
何号文書に該当するかを判定をし、印紙の金額をきめるのですが、
実務ではそんなに単純ではありませんよね。
契約によっては複数の課税文書に該当してしまうことが多々あります。
ソフトウエアの保守という仕事を請け負ったのですから、
請負契約書なので、第2号文書に分類されます。
じつはここでは終われません。
ソフトウエアの保守という取引を継続的に行う内容なので、
継続的な取引の基本契約書でもあり、第7号文書にも分類されます。
契約書が第2号文書に該当すれば、
文書に書かれた契約金額により印紙税の金額が決まってきます。
一番安くて印紙税は200円です。
契約書が第7号文書に該当すれば、
有無を言わさず印紙税は4,000円、納税金額が大きく違ってきます。
■ポイントは「契約金額」
文書の所属の判定をした結果、複数の文書に該当するとなった場合
印紙税法では具体的なルールを定めて最終的にどの文書に該当するか決められています。
第2号文書にも第7号文書にも該当する場合のポイントとなるのが「契約金額」が
書いてあるかどうかです。
ただその「契約金額」が難しい。
例えば、「ソフトウエアの保守契約は月額2万円」とあれば、
契約金額が記載されているように思いますがそうではありません。
契約金額とは「その契約した期間でいくらの金額か」が明確でなければなりませんので、
この記載の場合は第7号文書に該当し、印紙税は4,000円となります。
「ソフトウエアの保守契約は月額2万円で契約の日から1年間」と
契約の期間を記載することで、契約金額が合計24万円と明らかになり
第2号文書に該当することになります。
印紙税は記載金額が100万円以下なので200円ですみます。
ちょっとした記載の違いで税額が3,800円もかわってしまう。
調べてみると、印紙税は身近な割に奥深く難しい税金だなぁと痛感しますね。
その2 ~請負契約書と基本契約書~